日産新型エクストレイル完全解説ガイド

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エクストレイルのオールモード

前輪,後輪のトルク配分は電子制御によつて自由自在。

 

乗用車のコンポーネン卜から派生したSUVの中でも、オフロードイメージで売ってきたのが日産のエクストレイル。

 

三世代目となった今回のT32型は、外観デザインからは泥臭さが消えたとはいえ4WDシステムの基本部分は先代T31型から継承して悪路走破性は衰えていません。

 

 

オンデマンド方式

エクス卜レイルの4WDシステムは、分類上はオンデマンド方式の範疇に入り、前輪の2輪駆動をベースに、必要に応じて後輪にもトルクを配分するシステムです。

 

 

オンデマンド方式は、さらにパッシブ式とアクティブ式に分類できる。

 

パッシブ方式

パッシブ式の代表が、コンパクトカーや軽自動車に多いビスカスカップリング式。
複数枚を重ねたクラッチプレー卜が入ったカップリング内にシリコンオイルが封入してあり、前輪側のクラッチプレー卜と後輪側のそれの間に回転数差が生まれると、シリコンオイルの剪断力によってにもトルクが伝達される。

 

安価で軽量なのがメリットだが、前輪に明確な滑りが発生しないと後輪にトルクが伝わらないのが最大の弱点。
タイヤには明確なスリップを生じると摩擦係数が低下するという特性があり、前輪が滑ってから後輪に駆動力が伝わっても、全体の駆動力は大きくは増えないので、降雪地域の市街地には十分でも、山間地などの悪条件下では対応しきれないこともある。

 

 

アクティブ方式

この弱点を克服するのが、アクティブ式だ。

 

多板クラッチを使用するのはビスカスカップリング式と同じだが、カムを使ってクラッチプレー卜を圧着することと、車輪の回転数やアクセル開度、Gセンサーなどを元に、クラッチの圧着力を任意にコン卜ロールできるのが大きな違い。

 

エクストレイルが採用するのは、この方式です。

 

後輪にトルク伝達する電子制御カップリングはリヤデフの入り口にレイアウ卜されている。

 

内部には、トルク伝達を行なうメインクラッチと、伝達率を制御するコン卜ロールクラッチの2系統があり、両者の間にはボールカムがボールカムが介在している。

 

コンロールクラッチは、電滋石の磁力によって制御されます。

 

 

磁力によってコン卜ロールクラツチのプレー卜が引き寄せられるとボールカムが作動可能な状態になり、わずかに回転ズレが発生すると、メインクラッチを圧着する方向にカムの力が作吊後輪側のクラッチプレー卜にもトルクが伝達される。

 

電磁石に流す電流値を変えればカムの作動量が変わり、メインクラツチの圧着力=後輪に伝達するトルクがコントロールできる。

 

電流値がゼロなら、前輪に100%の駆動力が伝達され、電流値の増加とともに後輪へのトルク配分が増大。

 

最大時には前後輪はほぼ直結状態になる。

 

こうした制御を各種センサーからの情報を元に行なえば、アクセルが急激に踏み込まれた場合には、滑りを予測して発進の瞬間から圧着力を高めておくことができ、滑りやすい路面での発進議が大幅に向上する。

 

だから2リッタークラスのSUVは、ほとんどこの方式を採用しているのだが、走破性を左右するのは制御の内谷。

 

いつ、どんな制御を行なうかは、実践に基づいた悪路走行のノウハウがものをいう。

 

エクスレイルに採用されたオールモード4X4-iは、この制御ノウハウで他メーカーに差を付けています。

 

 

 

モード切り替えで走破性アップ

 

 

モードを切り替えることでより高い走破性を引き出せる

 

エクス卜レイルと同クラスの他社の4WDの多くは、駆動形式の切り換えスイツチを持たず、ドライバーは何もせずとも、状況に応じた制御をクルマが自動的に行なってくれる。
イージードライブという点では、それもひとつの方策ではあるが、予測、制御である以上、外れることもある。

 

 

そういう場合に、ドライバーの判断で切り替え操作ができれば、システムの能力をより多く引き出すことができる。

 

オールモード4X4-i
  • 2WD
  • AUTO
  • LOCK

 

以上の3つのモードを持っており、ドライバーがスイッチ操作で選択できる。

 

 

2WDモード

2WDモードのときは、原則としてカップリングの制御は行なわれず、常に前の2輪駆動で走行するわけですが、路面の状態が良く市街地走行に最適なモードになります。

 

 

AUTOモード

AUTOでは各種センサーからの情報によってカップリングの制御が行なわれるが、ブレーキやエンジン系統とも協調制御を行なうのが、オールモードの特長だ。

 

ブレーキを制御すると何が良いの力といえばLSD効果が得られるからだ。

 

エンジンの駆動力を左右輪に配分するギヤを、ディファレンシヤルギヤ,というが、これは内輪差を吸収(差動)するために、特殊なギヤ配列となっている。

 

このギヤは、内輪差吸収作用の副産物として卜ルクの均衡作用も持っており、片輪のグリップ力(トルク反力)が低下すると、それに合わせて反対側の車輪のトルクまで減ってしまう特性がある。

 

これが滑りやすい路面で走破能力を低下させるため、悪路ではそれを制限する装置が必要になる。

 

そこでEscのブレーキ制御を使い、滑っている側の車輪だけにブレーキをかけると、ブレーキカは疑似グリップ力となり、トルク反力が増えた分だけ反対車輪のトルクを増加させることができますが、これがブレーキLSD制御といわれるモノです。

 

実はこうした制御は、従来からトラクションコントロール(TCS)にも使われてきました。

 

しかしTCSは、滑っている車輪のグリップを回復させることを重視するために、同時にエンジントルクも絞ってしまう。

 

だから駆動證の大きい深雪や砂地では、駆動力そのものが不足して進めなくなるケースが生じることがあるわけです。

 

 

LOCKモード

そんなときこそ、第3のLOCKモードが威力を発揮する。

 

このモードを選べば、電子制御カップリングは最大締結状態に固定され、前輪と後輪の配分はほぼ50%ずつで固定され、駆懸力は最大になる。

 

オールモード4X4のもうひとつの特徴は、AUTOモードでは駆動力配分制御を操安性向上にも役立てていること。

 

例えばコーナー進入時、操蛇角の情報から旋回開始を検知し、後輪へのトルク配分を増大。

 

前輪のトルクを低減することで、横方向に使えるグリップ力を増やし、ターンインをスムースにするフイードフオワード制押を行なっている。

 

さらに旋回中には、操舵角やヨーレー卜 車速や前後Gなどの情報から、オーバーステア/アンターステアを判別。

 

オーバー傾向のときには後輪へのトルク配分を抑え、アンダー傾向の時にはそれを増大して、姿勢変化を抑制。

 

未舗装路や積雪路のような滑りやすい路面でも、安定したコーナリングを実現する。

 

このように、雪道での安定したコーナリングから、深雪や泥澤地などからの脱出まで、一般ユーザーが遭遇しうる悪条件に余裕を持って対応できるのが エクストレイルのオールモード4X4!の真骨頂なのです。